■ 伏高お客様に聞く - 馬酔木(横浜市)



横浜のとんかつ店、馬酔木の店長、須藤敏夫氏に、伏高からダシを仕入れている理由について詳しく聞きました。

(馬酔木について)
横浜の住宅街の一角にあるとんかつ店。15坪、20席。平成17年に開業。今年で6年目。地元客だけでなく、神戸、長野など遠方からもわざわざお客が来るという隠れた名店。

■ 来店客は、地元と遠方が半々

― 周囲には住宅やマンションばかりという立地ですが、やはりお客様は地元客が中心ですか。

いえ、地元のお客さん(※)は半分ぐらいで、残り半分は遠方からのお客様です。神戸や長野の方で、東京に出張があった時は必ず立ち寄ってくださるというお客様もいらっしゃいます。仕事がらみでなくても、千葉の方から毎月一度、わざわざお越しくださるお客様もあります。

馬酔木では、味の向上は当然のこととして、それ以外に、お客様への情報発信(人間関係づくり)に力をいれています。遠くからリピートしてくださるお客様がいらっしゃるのもその取り組みが一因だと考えます。
※ 地元客の定義は、「車で来られる半径10キロ圏内」


■ ブログやメルマガが、意外に集客に役立つ

ブログやツイッターなど情報発信に積極的
― お客様への情報発信を重視しているとは具体的には。

ブログ「とんかつの店 ~ 日々揚げてます」を頻繁に更新しています。また携帯電話向けメールマガジンも発行しています。メルマガには、来店時にQRコード等を通じてご登録いただいています。現在の登録会員数は約600人です。

― 飲食店なのに、ブログやメルマガが効果があるのですか。

ありますよ。ブログを見て初めてご来店いただくお客様もいらっしゃるほどです。

メルマガは、店の宣伝ではなく、お客様本位の情報を発信するよう心がけています。この間の東日本震災の時は、「今のうちにガソリン入れて置いた方がいい」「米なら業者からたくさん買ってあるから、いざとなったらお分けできますから」「子供にミネラルウオーターが必要なのに買えないお母さん。ウチにストックしてありますから、いざという時はどうぞ」「三陸のわかめ業者が被災したけれど、高台の小屋の在庫は無事でした。何だったら買ってあげてください」といった情報発信をしました。

おかげさまで地震の後も「馬酔木さんは大丈夫だったかい(笑)」とご来店くださったお客様もいらっしゃいました。

どんな商売でも、重要なのはお客様との人間関係です。その基本は飲食店であっても同じです。


■ 安定供給力がある仕入れ先を探していた。

― 伏高と取引を始めた経緯を教えてください。

この店を開店して3ヶ月後に、伏高からダイレクトメールが届いたことがきっかけです。

当時、ダシは、横浜の卸業者から仕入れていましたが、安定供給力の面で不安があったので、見直しが必要だなと考えていた時期でした。そこに伏高から営業があったので、まずは話を聞いてみたところ、価格、品質、安定供給力、営業マンの人間性など、すべて合格点に達していたので、取引を開始し、今にいたっています。

― 横浜の卸業者は、安定供給力で不安があったとは具体的には。

ここでの安定供給力とは「一定の品質の商品を常に提供する力」を指します。「一定の品質を、常に」という点が重要です。短期的に、あるいはスポットでなら、横浜の卸業者からでも、いま伏高から仕入れているのと同じレベルのダシが仕入れられると思います。しかし、その卸業者は、ダシ専門ではなく、業務用食材の総合卸業者でした。そうなると、ウチが求めるレベルのダシをどれほどストックしてくれているか少々、心許ない。仕入れるダシの品質がブレることがありえます。

料理の味の基礎となるダシを、高いレベルで安定させるには、伏高のようなダシ専門の会社とつきあうのが得策だと考えました。

― ところで、伏高が「築地の会社」であることは業者選定の際にプラスになりましたか。

いや、それはないです。ウチはとんかつ屋なので、私もお客さんも、それほど築地ブランドに対して有り難みは感じていませんから。伏高を選んだのは、純粋に、品質と安定供給力を評価してのことです。

-- いま、伏高のダシは、どこで使っているのですか。

主に、みそ汁で使っています。

■ みそ汁のおかわり。150円なのに注文してくれるお客さんが!

 
― みそ汁のダシを伏高に変えて、何か効果はありましたか。

効果、ありましたよ。

実はウチでは、みそ汁のおかわりは150円で有料です。とんかつ店ではみそ汁は「おかわり無料」の店も多いので、中には「おかわり!」と気軽に求めてくるお客様もいらっしゃるのですが、その場合は「すみません、みそ汁は150円なんです…」とお知らせしています。

しかし、無料だと思いこんでいたみそ汁が有料だと分かっても、それでもなお注文してくださる方があるのですね。これは、みそ汁の味自体がおいしくないと実現しないことです。

これは、ダシの仕入れ先を伏高に変えたことの効果の一つだといえると思います。

その他、伏高のダシで、削り節と昆布を漬け込んだ醤油をベースにドレッシングを作ったりもしています。また、昆布を自分で刻んで漬け物に使ったら、抜群に旨くなったという効果もありました。以前は、刻んである昆布を食材屋から買って使っていたのですが、やっぱり一手間かけると料理の味は上がるものですね。

■ 「ねこの手通信。あれ、イイですよね」

― 5年間、つきあってみての伏高への評価をお聞かせください。

まず高品質のダシの安定供給という点については期待通りです。おかげさまで美味いみそ汁やドレッシングが作れています。

もう一つ、定期的に送っていただいている飲食店ノウハウのニュースレター、「ねこの手通信」。あれ、いいですよね。

情報発信を【継続する】のは、けっこう手間がかかって大変です。だからこそ、それを実行している会社は信頼できます。

伏高と取引が始まってからも、いろいろな会社から営業がかかります。中には伏高より、安い値段を提示してくる会社もあります。だけど僕はそこに乗り換えようとは思わない。その業者は最初は安いかもしれないけど、しばらくして値段を上げてくるかもしれません。品質が安定していないかもしれない。やっぱり仕入業者は、長期的に信用できるところと付き合いたい。

その長期的信用を判断するバロメーターの一つとして、情報発信を僕は重視しています。まあ、こういうニュースレターをちゃんと出してる会社は裏切らないですよ。

ちなみに、ねこの手通信の内容を、自分のブログやメルマガのネタに使うこともあります。情報発信のネタを考えるのは大変なので重宝しています(笑)

■ 今後の期待

― 伏高への今後の期待をお聞かせください。

馬酔木は、これからもお客さん本位のお店であり続けたいと思っています。伏高さんには、良いダシの安定供給と、「ねこの手通信」という情報発信の両面をこれからも充実、継続させてください。お互い、これからも良い関係を続けましょう!

ねこの手通信とは?
伏高が毎月発行しているお客様向けニュースレター。飲食店繁盛ノウハウ、ダシの上手な使い方、鰹や昆布の漁の状況や市況などの情報を楽しい語り口でお知らせしています。

※ サンプルはこちら
馬酔木様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。

※ 馬酔木のホームページ
※ 取材日時 2011年5月
※ 取材制作:カスタマワイズ